美的数学のすすめ

初等整数論のうち、平方剰余の相互法則の意味を当面の目標としたいと思います。ゆくゆくは、ガウス和、円分体論まで到達したいです。

円分体

円分体における素イデアル分解

前回は、代数体における素数\(p\)の素イデアル分解と、多項式(代数体を定義する多項式で一定の「条件」を満たすもの)の\(\bmod{p}\)での因数分解が対応することを解説しました。 多項式の因数分解と素イデアルの分解 - 美的数学のすすめbiteki-math.hatena…

大学への数学-再び-

ここまでで一区切りついたので、これまでのまとめをしたいと思います。いくつか説明が漏れているところもありまし、ここまでのの話が、この後どのように一般化されたのかについても説明できると思います。 \(x^{n}-1\)の因数分解 このシリーズは大学への数学…

平方剰余の相互法則(その3)

今回は、平方剰余の相互法則と円分体論の関係を説明します。ポイントとなるのは、もう一つのガロア対応―高木・アルチン対応―とガウス和です。 平方剰余の相互法則 平方剰余の相互法則とは次の法則でした。 (平方剰余の相互法則) \(p,q\)を異なる2つの奇素数…

第2補充法則

前回は、平方剰余に関するオイラーの規準と第1補充法則について解説しました。 今回は第2補充法則です。第2補充法則を円分体論の中で理解します。このように考えると、実は、第1補充法則も円分体論の中で理解できることが分かります。 第2補充法則 \(p\)を2…

円分多項式の分解法則とmodの交換

\(p\)と\(q\)を素数とします。このとき、 円分多項式\(\Phi_{q}(x)\)の\(\bmod{p}\)での分解 と \(p\)の\( (\mathbb{Z}/q\mathbb{Z})^{\times}\)の中での位数 が関連していることを説明しました。どういうわけか、modが交換されています。 円分多項式のmod p…

円分多項式のmod pにおける因数分解

今回は、円分多項式が\(\bmod{p}\)でどのように因数分解されるか考えます。一般的に整数係数多項式は整数係数多項式上既約(これ以上因数分解できない)場合でも、\(\bmod{p}\)をすると因数分解できるときがあります。 たとえば、\( x^{2}+1 \) は整数係数多…

円分体のガロア対応

前々回、ガロア対応の超入門を説明しました。今回は、それを円分体に応用してみます。 ガロア対応超入門 - 美的数学のすすめbiteki-math.hatenablog.com ガロア対応を円分体に応用すると、ガウス周期と、ガロア群の部分群との関係が分かります。ガウスはガロ…

円分体のガロア群

今回は、円分多項式の分解体である\(\mathbb{Q}(\zeta_{n})\)のガロア群\(\text{GaL}(\mathbb{Q}(\zeta_{n})/\mathbb{Q})\)を考えます。 ガロア理論の初歩については下記をご覧ください。 ガロア理論超入門 - 美的数学のすすめbiteki-math.hatenablog.com 円…

正17角形とガウス周期

今から219年前の今日、3月30日は、ガウス(Gauss)が正17角形の作図可能性に気がついた日です。そこで、今日は、正17角形の作図可能性について書いてみます。 1796年3月30日の朝、ガウスは目覚めてベットから起きた刹那に、正17角形が作図可能であると気がつ…

n=13の場合のガウス周期

前回は\(n=7\)の場合のガウス周期(Gaussian period)を解説しました。 n=7の場合のガウス周期 - 美的数学のすすめbiteki-math.hatenablog.com 今回は、\(n=13\)の場合のガウス周期を考えます。\(n-1=12\)の約数は12,6,4,3,2,1ですので、これらの周期が作れる…

n=7の場合のガウス周期

前回ガウス和の具体例を\(n=5,7,11,13\)の場合について計算してみました。 ガウス和 - 美的数学のすすめbiteki-math.hatenablog.com 前回計算したガウス和は、最もポピュラーなものではありますが、厳密には2次のガウス和と呼ばれているものです。これから2…

ガウス和

\(n=5\)の場合 \(n=5\)の場合の円分方程式\(\Phi_{5}=x^{4}+x^{3}+x^{2}+x+1=0\)の解の1を\(\zeta_{5}=\exp(\frac{2\pi i}{5})\)とおきます。このとき、かつてやったように(大学への数学 - 美的数学のすすめ) \[ \alpha=\zeta_{5}+\zeta_{5}^{4},\ \ \beta…

x^n-1の因数分解

さて、前々回、前回からの問題の回答です。。 7次の円分多項式の既約性 - 美的数学のすすめ 7次の円分多項式の既約性 - 美的数学のすすめ 問題は、 多項式 \[ x^{n}-1\] を整数係数多項式の中で因数分解したときの、因子の数を求めよというものでした。 \(n\…

7次の円分多項式の既約性

今日は、前回の問題の続きです。前回の問題とは、 多項式 \[ x^{n}-1\] を整数係数多項式の中で因数分解せよ でした。 今日は、\(n=7\)のとき、\(x^{7}-1=(x-1)(x^{6}+x^{5}+ x^{4}+x^{3}+ x^{2}+x+1)\)のうちの、\(x^{6}+x^{5}+ x^{4}+x^{3}+ x^{2}+x+1\)が…

大学への数学

もう20年以上も昔、高校生だったころ、「大学への数学」という月刊誌を愛読していた。それこそ、一文字も読み漏らすまいと、1ページ目から最終ページまで穴が開くほど眺めていた。当時、数学は好きであったが、物理の方がもっと好きだった。だっから、自分が…