美的数学のすすめ

初等整数論のうち、平方剰余の相互法則の意味を当面の目標としたいと思います。ゆくゆくは、ガウス和、円分体論まで到達したいです。

二次体における素イデアル分解(m=2,3(mod 4)の場合)

今回は二次体における素イデアル分解について書きます。二次体は円分体の部分体になりますので、円分体における素イデアル分解を二次体に還元することができます。しかし、それには、ガロア理論+αが必要となってきますので、ここでは、直接、二次体における…

円分体における素イデアル分解

前回は、代数体における素数\(p\)の素イデアル分解と、多項式(代数体を定義する多項式で一定の「条件」を満たすもの)の\(\bmod{p}\)での因数分解が対応することを解説しました。 多項式の因数分解と素イデアルの分解 - 美的数学のすすめbiteki-math.hatena…

多項式の因数分解と素イデアルの分解

ここまで多項式の因数分解の法則について書いてきましたが、通常の整数論のテキストには多項式の因数分解ではなく、素イデアルの分解について書かれています。今回は、多項式の因数分解と素イデアルの分解の関係について解説します。 多項式の因数分解 整数…

正17角形とガウス周期 ― 再び ―

ガウスは、19歳のある朝目覚めた刹那に、正17角形が定規とコンパスで作図可能であることに気がつきました。これは、ギリシャ時代以来の大発見でしたが、しかし、ガウスはこれを発見した当時から、この発見が、もっと大きな理論の一つの系にしか過ぎないこと…

大学への数学-再び-

ここまでで一区切りついたので、これまでのまとめをしたいと思います。いくつか説明が漏れているところもありまし、ここまでのの話が、この後どのように一般化されたのかについても説明できると思います。 \(x^{n}-1\)の因数分解 このシリーズは大学への数学…

平方剰余の相互法則(その3)

今回は、平方剰余の相互法則と円分体論の関係を説明します。ポイントとなるのは、もう一つのガロア対応―高木・アルチン対応―とガウス和です。 平方剰余の相互法則 平方剰余の相互法則とは次の法則でした。 (平方剰余の相互法則) \(p,q\)を異なる2つの奇素数…

平方剰余の相互法則(その2)

前回、平方剰余の相互法則についてご紹介しました。今回は、平方剰余の相互法則が、なぜ驚くべき結果なのか、その意味について考えてみたいと思います。 平方剰余の相互法則(その1) - 美的数学のすすめbiteki-math.hatenablog.com 前回も記載したとおり、…

平方剰余の相互法則(その1)

さて、いよいよ平方剰余の相互法則です。平方剰余の相互法則は、オイラーにより予想されガウスが証明しました。ガウスは生涯にわたり7つの異なる証明を与えています。ガウスが初めて証明したのはガウス日誌によれば、1796年4月8日です。ガウスがある朝、目を…

第2補充法則

前回は、平方剰余に関するオイラーの規準と第1補充法則について解説しました。 今回は第2補充法則です。第2補充法則を円分体論の中で理解します。このように考えると、実は、第1補充法則も円分体論の中で理解できることが分かります。 第2補充法則 \(p\)を2…

平方剰余とルジャンドル記号

最終行の赤字部分を修正しました。2015/6/4 前回まで、円分多項式\(\Phi_{q}\)の\(\bmod{p}\)での因数分解の法則が、\(p\)の\(\bmod{q}\)での位数と関連するというお話をしました。つまり、円分多項式の因数分解の法則は、modが入れ替わってしまいます。 こ…

円分多項式の分解法則とmodの交換

\(p\)と\(q\)を素数とします。このとき、 円分多項式\(\Phi_{q}(x)\)の\(\bmod{p}\)での分解 と \(p\)の\( (\mathbb{Z}/q\mathbb{Z})^{\times}\)の中での位数 が関連していることを説明しました。どういうわけか、modが交換されています。 円分多項式のmod p…

有限体の構造

次回、円分多項式\(\Phi_{q}(x)\)の\(\bmod{p}\)での因数分解の法則が、\(p\)の\(\bmod{q}\)における位数と関係あることを確認したいと思います。そのために、今回は、有限体の構造について考えてみます。 有限体の構造といっても、その多くは、\(\mathbb{Z}…

もう一つのガロア対応

前々回、円分多項式\(\Phi_{q}\)の\(\bmod{p}\)での分解法則は、\(p\)の\(\mod{q}\)における位数で決まることをみました。円分多項式の分解法則では考える mod の世界が入れ替わるのですね。 円分多項式のmod pにおける因数分解 - 美的数学のすすめbiteki-ma…

円分多項式以外のmod pにおける因数分解

本業が忙しくて、なかなかブログの更新できません。 前回、円分多項式\(\Phi_{q}(x)\)を\(\bmod{p}\)で因数分解をしました。 円分多項式のmod pにおける因数分解 - 美的数学のすすめbiteki-math.hatenablog.com これによって、 円分多項式\(\Phi_{q}(x)\)の\…

円分多項式のmod pにおける因数分解

今回は、円分多項式が\(\bmod{p}\)でどのように因数分解されるか考えます。一般的に整数係数多項式は整数係数多項式上既約(これ以上因数分解できない)場合でも、\(\bmod{p}\)をすると因数分解できるときがあります。 たとえば、\( x^{2}+1 \) は整数係数多…

円分体のガロア対応

前々回、ガロア対応の超入門を説明しました。今回は、それを円分体に応用してみます。 ガロア対応超入門 - 美的数学のすすめbiteki-math.hatenablog.com ガロア対応を円分体に応用すると、ガウス周期と、ガロア群の部分群との関係が分かります。ガウスはガロ…

既約剰余類群の部分群

円分体のガロア群\(\mathrm{Gal}(\mathbb{Q}(\zeta_{p})/\mathbb{Q})\)は、\( (\mathbb{Z}/p\mathbb{Z})^{\times}\)と同型ですので、ガロア対応を考えるには\( (\mathbb{Z}/p\mathbb{Z})^{\times}\)の部分群が必要となります。今回は、\( (\mathbb{Z}/p\math…

ガロア対応超入門

ガロア理論の初歩は前々回ご説明しましたが、前々回は最も肝心なガロア理論の神髄ともいえるガロア対応については説明していませんでした。今回は、ガロア理論で最も重要なガロア対応を考察したうえで、次回それを円分体に応用します。 ガロア理論超入門 - …

円分体のガロア群

今回は、円分多項式の分解体である\(\mathbb{Q}(\zeta_{n})\)のガロア群\(\text{GaL}(\mathbb{Q}(\zeta_{n})/\mathbb{Q})\)を考えます。 ガロア理論の初歩については下記をご覧ください。 ガロア理論超入門 - 美的数学のすすめbiteki-math.hatenablog.com 円…

ガロア理論超入門

ここまで見てきたガウス周期をガロア理論の立場から見直してみます。ガウスはガロア理論を知りませんでしたが、円分体に関しては、完全にガロア理論と同様のことを理解していたと言われています。 ガロア(Galois)は1811年生まれですからガウスが34歳の時に…

正17角形とガウス周期

今から219年前の今日、3月30日は、ガウス(Gauss)が正17角形の作図可能性に気がついた日です。そこで、今日は、正17角形の作図可能性について書いてみます。 1796年3月30日の朝、ガウスは目覚めてベットから起きた刹那に、正17角形が作図可能であると気がつ…

多項式の判別式

前回、前々回と\(n=7,13\)の場合のガウス周期とガウス周期を解とする方程式を求めました。また、その方程式の判別式には、一定の法則がありそうだということも分かりました。今回は、そのうち、円分多項式の判別式について考えます。円分多項式は、1周期を解…

n=13の場合のガウス周期

前回は\(n=7\)の場合のガウス周期(Gaussian period)を解説しました。 n=7の場合のガウス周期 - 美的数学のすすめbiteki-math.hatenablog.com 今回は、\(n=13\)の場合のガウス周期を考えます。\(n-1=12\)の約数は12,6,4,3,2,1ですので、これらの周期が作れる…

n=7の場合のガウス周期

前回ガウス和の具体例を\(n=5,7,11,13\)の場合について計算してみました。 ガウス和 - 美的数学のすすめbiteki-math.hatenablog.com 前回計算したガウス和は、最もポピュラーなものではありますが、厳密には2次のガウス和と呼ばれているものです。これから2…

ガウス和

\(n=5\)の場合 \(n=5\)の場合の円分方程式\(\Phi_{5}=x^{4}+x^{3}+x^{2}+x+1=0\)の解の1を\(\zeta_{5}=\exp(\frac{2\pi i}{5})\)とおきます。このとき、かつてやったように(大学への数学 - 美的数学のすすめ) \[ \alpha=\zeta_{5}+\zeta_{5}^{4},\ \ \beta…

x^n-1の因数分解

さて、前々回、前回からの問題の回答です。。 7次の円分多項式の既約性 - 美的数学のすすめ 7次の円分多項式の既約性 - 美的数学のすすめ 問題は、 多項式 \[ x^{n}-1\] を整数係数多項式の中で因数分解したときの、因子の数を求めよというものでした。 \(n\…

7次の円分多項式の既約性

今日は、前回の問題の続きです。前回の問題とは、 多項式 \[ x^{n}-1\] を整数係数多項式の中で因数分解せよ でした。 今日は、\(n=7\)のとき、\(x^{7}-1=(x-1)(x^{6}+x^{5}+ x^{4}+x^{3}+ x^{2}+x+1)\)のうちの、\(x^{6}+x^{5}+ x^{4}+x^{3}+ x^{2}+x+1\)が…

大学への数学

もう20年以上も昔、高校生だったころ、「大学への数学」という月刊誌を愛読していた。それこそ、一文字も読み漏らすまいと、1ページ目から最終ページまで穴が開くほど眺めていた。当時、数学は好きであったが、物理の方がもっと好きだった。だっから、自分が…

ユークリッド(Euclid)の互除法(その2)

今回は、ユークリッドの互除法を使って、最大公約数との間で成立する関係式を求めます。 ユークリッドの互除法とは整数\(n,m\)に対し最大公約数を \( (n,m)\)と表すと \[(n,m)=(n-m,m)\] が成り立つことでした。 ユークリッド(Euclid)の互除法 - 美的数学の…

ユークリッド(Euclid)の互除法

Fermat(フェルマー)以前に発見されていた整数論の定理で、使用頻度の高い定理ベスト2は、①ユークリッドの互除法と②中国剰余定理との2つだと思います。そのうち、今回は、ユークリッドの互除法について解説します。 ユークリッドの互除法は、最大公約数を簡…

原始根の存在定理(その2)

前回に引き続き、原始根の存在定理が成立するもう一つの類型について解説します。 \(\mathbb{Z}/p\mathbb{Z}\)の原始根とは、\(p-1\)乗してはじめて\(1\)になる\(\mathbb{Z}/p\mathbb{Z}\)の元のことをいいました。そして、原始根が存在することと、\((\math…

原始根の存在定理-剰余類の基本的な性質(その3)

今回は、剰余類(素数の場合)の基本的な性質の第3弾として、原始根の存在定理をご紹介します。 第1弾は、\(p\)を素数とする場合、\(\mathbb{Z}/p\mathbb{Z}\)が体になること。(なお、体とは、可換(掛け算が交換可能)で、0以外の元による割り算ができるも…

Eulerのファイ函数(その2)

\(n\)以下の自然数で\(n\)と互いに素なものの数を\(\varphi(n)\)と書き、オイラーのファイ函数といいました。 Eulerの\(\varphi\)函数が、なぜこのように定義されたのか、どんな場面で役に立つのかについては、下記をご覧ください。 Eulerのファイ函数 - 美…

Eulerのファイ函数

剰余類の基本的な性質を説明する上で必要になりますので、今日は、Euler(オイラー)の\(\varphi\)函数(ファイ函数)のご説明をします。 1 オイラーの\(\varphi\)函数の定義 \(n\)以下の自然数で\(n\)と互いに素なものの数を\(\varphi(n)\)と書き、オイラー…

Fermatの小定理-剰余類の基本的な性質(その2) 

これから、剰余類\( \mathbb{Z}/p\mathbb{Z} \)の基本的な性質をいくつか挙げていきます。 一つ目は、Fermatの小定理(Fermat’s little theorem)です。Fermat(フェルマー)は近代整数論の先駆者であり、Fermat(フェルマー)-Euler(オイラー)-Gauss(ガ…

剰余類の基本的な性質

初等整数論のうち、平方剰余の相互法則の意味を当面の目標としたいと思います。ゆくゆくは、ガウス和、円分体論まで行きたいです。 1.\(p\)で割った余りの集合(剰余類) \( p \) を素数とするとき、\( \mathbb{Z}/p\mathbb{Z} \)を整数を\( p\) で割った…